コラム

決算月はいつにすればいい?失敗したくない!
決算月はどうやって決めているの?
税金面で損するのは避けたい

こんな悩みにお答えします。

いざ自分の会社の決算月を決めるとなれば、悩む人も多いかと思います。
法人にとって決算月は自由に設定できる一方で、戦略的に考える必要があります。

「まわりが3月決算にしているから、うちも3月決算にしようかな」
このような理由で決算月を決めてしまうと後悔しかねません。

本記事では、
決算月の設定を失敗する人の共通点5選
決算月の変更の仕方
決算前に効果的な節税対策3選

をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

後半では決算前に効果的な節税対策も解説しますので、本記事を最後まで読んで会社にとってベストな選択肢を選んでくださいね。

【適当は厳禁】決算月はいつがいい?失敗する人の共通点5選

決算月とは事業年度の最終月のことを指す、経営戦略の重要な要素です。

決算では決算書を作成し、その後は株主総会にて株主へ報告し、税金の納付を行います。
法人と個人事業主での決算の違いは以下のとおりで、共通して会計期間は1年を越えてはいけません。

【法人の場合】
決算月はいつでも設定でき、月末じゃなくても問題なし
 (7/10〜7/9のように月の途中で設定できる)
決算は半年決算でも問題なし
決算月から2ヶ月以内に法人税や消費税を納付する必要がある
 (末日が休日であれば、その翌営業日が期限)

【個人事業主の場合】
決算月は12月と決まっている
翌年の2月16日〜3月15日に確定申告を行う

このように個人事業主は決算月を自由に決められません。
法人の場合は自由だからこそ、適当に決めると思わぬ事態を招きかねませんので、以下では失敗する人に共通するポイントを5つご紹介します。

消費税の免税期間を考慮しない

免税事業者として消費税が免除される期間を長くしましょう。
消費税の納税額に大きく影響するからです。

新規で事業をはじめた場合、課税売上高が1,000万円を超えるなど一定の条件を満たさない限り、最初の2年間は基準期間がないため免税事業者となります。
ポイントは消費税の免税事業者である期間は年単位ではなく事業年度単位という点です。

たとえば、

10月に会社を設立し、翌年3月を決算月にした場合
→初年度の免税事業者である期間は5ヶ月
10月に会社を設立し、翌年9月を決算月にした場合
→初年度の免税事業者である期間は12ヶ月

比較すると②の方が消費税がかからない期間が長いのは明白ですよね。
このように、24ヶ月まるまるを使ったほうが節税面では効果的です。

※事前にシュミレーションを行い、初年度の事業年度の開始の日から6カ月間の課税売上高・給与支払額が共に1,000万円を超える場合には、短期事業年度(事業年度が7か月以下)についても考慮に入れる必要があります。

会社設立1期目はできるだけ免税事業者でいられる期間を長く設定することを検討しましょう。

ただし、2023年10月よりはじまるインボイス制度にて課税事業者になる場合は、設立当初から課税事業者の扱いになります。

会社の儲かる月を決算月にしてしまう

会社にとって収益が多くなる月は決算月から外し、事業年度の期首に設定しましょう。
節税対策や事業投資、設備投資などの計画を立てやすいからです。

たとえば、期首に多くの収益が発生したり、場合によっては計画した売上を下回ったりしても、そのタイミングが期首であれば決算まで残りの11ヶ月であらゆる対策を考えられます。

主な取引先の繁忙期などもチェックしておきましょう。
取引先が予算を消化したい月と会社の決算月が被さると、売上が集中する可能性があるからです。

決算月は大きな収益が上がりにくい月を選び、不測の事態が起きても対処できるようにしましょう。

会社の繁忙期に合わせてしまう

決算月は会社の忙しい時期と被らないようにしましょう。
在庫の棚卸しなど通常業務に加えて、決算業務があると大変だからです。

社員への負担が大きくなり、ヒューマンエラーなどにつながる可能性もあり、業務効率を大きく下げてしまいます。

決算月と会社の繁忙期はずらして設定しましょう。

税金などの支払い時期を考慮しないで決算月を決める

決算月から2ヶ月後を、会社の資金に余裕がある月にしましょう。
納税する月に対して、多くの支出が一時期に集中すると資金繰りが大変になるからです。

たとえば、
ボーナスなど賞与の支払い時期
仕入れなど経費の支払いが多い時期

など、決算月から2ヶ月後の法人税・消費税の納税するタイミングは逆算し、うまくずらして設定しましょう。

資金が増えたり、資金に余裕がある月をあらかじめ選ぶように心がけましょう。

税理士の繁忙期を考慮しない

我々からこんな話をするのも心苦しいですが、税理士が忙しくなる時期を意図的に外すこともオススメです。

税理士の忙しい時期と被ってしまうと、下記のようなリスクが考えられます。

余裕をもって決算業務に向き合ってもらえない
手抜きをされる
そもそも忙しいという理由で断られる

多くの企業は3月末決算ですので、2ヶ月後までの4〜5月は税理士にとって繁忙期になります。
3月末に次いで多い9月決算、12月決算も同様です。

また、個人事業主が確定申告する時期と被らないかもチェックポイントです。
確定申告時期にあたる2月〜3月も税理士がとても忙しくなる時期です。

なるべく税理士が忙しくない時期を決算月にして、スムーズな決算業務ができるようにしましょう。

決算月を3月・9月・12月にする会社が多い理由

法人にとって決算月は自由に決められますので、下記のように会社によってさまざまです。

引用:国税庁『決算期別の普通法人数』
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/hojin2021/pdf/04_hojinsu.pdf/

特に決算月として多い3月、9月、12月について、その設定理由を以下で深掘りします。

【3月に多い理由】会社を取り巻く環境に合わせているから

多くの会社が3月に決算月を設定している理由は、
国や地方自治体の会計年度に合わせている
法改正に合わせている
総会屋への対策

などが考えられます。

1点目は、国や地方自治体など官公庁から仕事を受けることが多い大企業によくある特徴です。

官公庁の事業年度は4月〜3月と法律で決まっており、それに基づき事業計画が立てられます。
その事業計画に基づいて民間企業へ発注がかけられることを踏まえて、企業の側も決算月を3月に設定しているわけですね。

2点目の法改正は一般的に4月1日より施行されますので、事業年度と合わせるために決算月を3月に設定するという理由です。

決算月を3月にすれば法改正と連動させて会計処理を変更でき、業務の煩雑化を避けられるメリットがあります。

3点目は過去の名残とも考えられますが、株主総会を荒らす総会屋の対策として、各会社が総会屋が株主総会を回りきれないようにする目的のもと足並みを揃えて3月決算にした経緯があります。

ちなみに総会屋とは、株主としての権利を濫用して不当な利益を得ようとする者を指します。

【9月に多い理由】比較的落ち着いた時期だから

1年間を通じてもっとも落ち着いて決算業務を行える時期だからです。

もちろんすべての会社に当てはまるわけではありませんが、3月決算だと4月以降は人事異動や新入社員の入社などで慌ただしくなりますし、12月決算だと業界によっては年末年始の繁忙期と重なりますので、なかなか落ち着いて決算業務に向き合えません。

このように決算月から2ヶ月先の忙しさを事前予測して、決算月を決めるのは得策と言えます。

【12月に多い理由】海外の企業に合わせているから

海外企業との取引が多い会社は、12月決算にしていることが多いです。

海外では12月を決算月にする会社が多いからです。

取引先の事業年度に合わせた方が、事業計画などが立てやすく、足並みを揃えやすいことが考えられます。

また、個人事業主から会社設立に至った人は、そのまま12月を決算月にしていることも珍しくありません。

決算月は後から変更できる

決算月は一度決めてしまっても、後から変更できます。

少しでも変更を検討しているならば、会社が大きくなって小回りが効かなくなる前に行動に移しましょう。

また、消費税の免税期間を終えた後、それでも不便に感じるようであれば変更を検討するものいいですね。

以下では決算月を変更する手続きついて説明します。

株主総会で特別決議をする

決算月を変えるには定款の変更が必要ですので、株主総会で特別決議をしましょう。

特別決議とは議案を可決するにあたり、議決権の半数を保有する株主の出席と、出席した株主の議決権の2/3以上を必要とする決議方法です。

わざわざ登記を変更する必要はありません。

なお、合同会社の場合は全社員の同意が基本です。

税務異動届を出す

株主総会で決算月を変更する承認が得られた後は、『税務異動届』を提出します。

提出先は下記のとおりです。

所轄税務署
都道府県民税事務所
市区町村の役所

税務署へ提出する書類は、
株主総会で決議された議事録
決算月の変更の旨を記した異動届出書

融資を受けている銀行など、金融機関へも届出しておきましょう。

【効果的】決算前に対策できる節税ポイント3選

決算月までに将来的に必要なものへ投資すれば経費となり、翌期に納める税金を減らせます。

3つの節税ポイントは、

・人材の採用費
・宣伝広告費
・交際費

いずれも投資の前倒しという視点が大切です。

経費を増やすためだけの無駄遣いにならないようにご注意ください。

人材の採用費

決算月までに将来の人材を確保するための採用費に支出しましょう。

人材確保につながる投資はいずれ必要な経費だからです。

具体的には下記の費用です。

・採用媒体への出稿
・会社説明会の実施

これらに投資して採用活動を前倒しで実施すれば、早期に費用化しつつ、かしこく翌期の節税対策ができます。

広告宣伝費

自社の商品・サービスの販促や、認知を拡大させるための費用に支出しましょう。

これらも翌期以降の会社の活動にとって必要であれば、前倒しでできる施策だからです。

具体的には下記の費用です。

・インターネットへの広告費
・情報誌への掲載依頼
・DMの発送数を増やす
・ホームページのリニューアル費
・販売用ページの作成費

会社にとって必要であることが大前提ですが、来季の売り上げにつながる施策として有効ならば、費用を前倒しで払っておくのは節税にも効果的な方法です。

交際費

来期の仕事につながるような接待に費用を支出するのも良いでしょう。

交際費も同様に、翌期も取引先の接待に交際費を使うのであれば、決算月に対して前倒しできる施策だからです。

あくまでも将来的なキャッシュフローの改善や、売上アップにつながることを目的に投資しましょう。

まとめ

今回は決算月の決め方や変更方法について解説し、後半では決算前にできる節税対策もご紹介しました。

失敗する人に共通するポイントのおさらいですが、

消費税の免税期間を考慮しない
会社の儲かる月を決算月にしてしまう
会社の繁忙期に合わせてしまう
税金などの支払い時期を考慮しないで決算月を決める
税理士の繁忙期を考慮しない

上記のように、さまざまな視点で決算月は決める必要があります。
安易に設定してしまうと税金の支払いが多くなったり、会社の資金繰りが悪化するなど、会社経営に支障をきたしかねません。

会社の状況を踏まえて税理士などの専門家に意見を求めるのも有効です。

会社にとってお金の出入りする時期を見定め、計画的に決算月を決めましょう。



関連コラム:【徹底解説】会社(法人)登記の必要性とは?【節税と信頼向上】
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監修者

税理士 篠塚啓三
税理士 篠塚啓三
1975年生まれ 埼玉県所沢市出身
早稲田大学商学部卒業
関東信越税理士会、所沢税理士会に所属大学卒業後、一般企業を経て
平成15年4月 シン中央会計 入社
平成18年12月 税理士登録 登録番号106985
平成29年11年 税理士法人シン中央会計 代表に就任主に創業間もないスタートアップの顧客向けに、クラウド会計の導入やバックオフィスの合理化、経営数値の見える化や事業計画作成、金融機関からの資金調達など、幅広い支援を行っている。

※本サイトに掲載の内容は、令和5年7月現在の法令に基づき作成しております。

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株主総会ってなに?
株主総会はどうやって開催するの?どんなことを話するの?
大きな組織じゃないし、株主総会はサッと適当に済ませたい

こんな悩みにお答えします。

株主総会についてのルールは会社法で定められていますが、法律の条文を読むのはハードルが高く、
ややこしく感じる方も多いでしょう。

とはいえ、株式会社にとって株主総会は切っても切り離せない重要な意思決定機関であり、
「開催しなくてもいいや」という考えは禁物です。

本記事では、
株主総会の概要と具体的な開催手順
株主総会での4つの決議内容と3つの決議方法
経営者から寄せられるよくある質問

これらについて、会社法に定める内容をもとにわかりやすく説明します。

株主総会への理解を深め、健全な会社運営に活かし、株主からの信頼もがっちり獲得しましょう。

株主総会とは

株主総会とは重要事項を決める、会社にとっての最高意思決定機関であり、舵取りの役割を担います。

株式会社の所有者は株を所有する株主ですが、株主が経営したり働くわけではありません。
経営しない代わりに役員を株主総会で選任し、その役員により会社は運営されます。

株主と選任された役員(会社)の双方が発言できる機会が株主総会です。

株主総会は大きく分けて2種類ありますので、順番に解説します。

定時株主総会とは

通常は決算後3ヶ月以内に行われる一般的な株主総会のことを指します。

【招集時期】
事業年度終了後に年1回

【議案内容】
決算報告や承認
事業報告
役員報酬や剰余金の配当 など

年1回開催する会社が多数ですが、半年ごとに開催する会社もあります。

臨時株主総会とは

必要があればいつでも開催できる株主総会を指し、招集するかどうかは任意です。

【招集時期】
必要に応じていつでも

【議案内容】
定款変更
補充取締役の選任
新株予約権の発行 など

議案内容は緊急を要する内容ですが、法令での定めはありません。

株主総会と取締役会との違い

取締役会は出席者が取締役のみで、株主は出席しません。

取締役会は以下のような会社の業務に関する事項を意思決定をする場所だからです。
株式譲渡についての決議
経営方針の決定
株主総会を開催するかの検討

ただし、取締役会を設置していない会社の場合、取締役会での決議事項は株主総会で決めます。

株主総会の具体的な開催方法

株主総会は書面のみで行えず、実開催しなければなりません。

株主総会を開催する流れをくわしく説明します。

株主総会の招集を決める


取締役会を設置する会社では、取締役会で招集を決定し、代表取締役が招集を行います。

取締役会での決定事項は次のとおり。

株主総会の日時・場所
株主総会で決議する議題
提出する議案や書類

なお、取締役会を設置していない会社の場合は、取締役が招集します。
    

株主総会の招集を通知する

取締役会での決定事項にしたがって、以下の時期までに株主へ書面で招集通知を発送します。

【公開会社または書面投票制度・電子投票制度を採用する場合】
株主総会をする日の2週間前まで

【非公開会社(取締役会を設置している会社の場合)】
株主総会をする日の1週間前まで

【非公開会社(取締役会を設置していない会社の場合)】
株主総会をする日の1週間前まで
 ※1週間を下回る期間での定めがある場合は、その期間まで

たとえば、2週間前までとは中14日を空けることを意味しますので、開催日の25日前までには
通知を出します。

また、下記の場合は書面による通知の必要はありません。
公開会社ではない
取締役会を設置していない
書面投票・電子投票を採用しない

株主の承諾があればメール通知もできますが、後々のトラブルを防止するため、事前の同意やメール
送付先を書面やメールにて確認しておきましょう。

議題・議案などを提出する

株主への招集通知には、
・日時・場所
・議題
・提出する議案

を記載し、必要書類とともに送付します。

なお、法令により2023年3月以降の株主総会から、すべての上場会社は電子提供制度の導入が
義務付けられました。

電子提供制度とは株主総会の資料をウェブサイトに掲載し、そのURLなどを株主へ通知して閲覧できるようにする制度で、株主総会の3週間前までに掲載しなければなりません。

株主総会の準備【前日まで】

運営方針の策定

どのような株主総会にするのかを決めます。

たとえば、
とにかくきちんと株主総会を運営する
総会に出席する株主の満足度を高める
メディアを通じて世間に認知されるようなインパクトを狙う

など、事前にどのような会合にするかを策定します。

1年に1度の経営陣と株主が一斉に会す場なので、綿密に打ち合わせを行います。
    

各種書面や会場の準備

想定問答集を作っておくと効果的です。

株主からの質問に先回できれば、スムーズな進行につながるからです。
スッと適切な回答ができると株主の信頼にもつながるでしょう。

また、付議する議案に漏れがないかのチェックは必須。

会場を借りる場合は、事前に予約して当日の運営スケジュールも決めます。

株主総会ですること【当日】

各種報告事項の報告

決議の必要がない事項について報告をします。

例えば、
監査結果の報告
前年度の事業報告
計算書類(貸借対照表、損益計算書 など)

などを説明します。

議案の審議・決議

次に、招集通知にて伝えた議案について審議・決議します。
議案の内容を株主にわかりやすく説明することが求められます。

審議の方法は以下の2つです。

【一般審議方式】
挙げられたすべての議案を一括で審議し、その後に決議案を順番に決める方法
円滑に進められるメリットがある主流な方法

【個別審議方式】
議案ごとに提出し、審議・採決する方法
慎重な審議を要する場合に採られるケースが多い

なお、後述しますが決議方法は3種類あります。

株主総会の後にすること

計算書類の公告

遅滞なく承認を受けた計算書類を公告します。

中小企業は貸借対照表のみ、大きい会社は貸借対照表と損益計算書が対象です。

議事録の作成・保存

会社法に基づき議事録は本店に10年間、支店に5年間保存する必要があり、デジタル形式での保存もできます。

株主と会社債権者は議事録の閲覧・謄写の請求ができますので、議事録はわかりやすく正確に作成して保存しましょう。

近年はバーチャル型の株主総会の検討が進んでいる

バーチャル型の株主総会は2種類あり、近年は増えつつあります。

バーチャルで開催するには、定款変更で『当会社は株主総会を場所の定めのない株主総会とすることができる』など、文言を追加する必要があります。

では、リアル株主総会との違いを解説します。

ハイブリッド型バーチャル株主総会

リアル株式総会を開催しつつ、インターネットなどを通じて開催する方法で、参加型と出席型に分けられます。

【参加型】
会社法上の『出席』を伴わず、議決権を行使できない
リアル株主総会の場所にいない株主が審議などを確認・視聴できる
チャットなどで質問できる場合もある

【出席型】
会社法上の『出席』を伴い、議決権を行使できる
株主はリアル株主総会の場所にいなくても議決権の行使や質問ができる

バーチャルオンリー株主総会

インターネットなどのバーチャル上のみで開催し、株主は会社法上の『出席』を伴って参加できる株主総会です。

開催するには4つの要件があります。
上場会社である
省令要件を充足し、経産・法務大臣の確認を受ける
「場所の定めのない株主総会」を開催できる旨を定款に定める
招集を決定したときに省令要件を満たしている

4点目の省令要件とは、
通信法に関する事務責任者の設置
通信障害などに関する対策方針の決定
インターネットの使用に支障がある株主の利益確保への配慮
株主名簿に記載・登録されている株主が100人以上

であり、感染防止対策などを目的としていません。
今後はバーチャルオンリーで開催する会社も増えることが予想されます。

株主総会で決議事項は大きく分けて主に4つ

会社の組織・事業について
株主の権利について
役員等の人事について
役員報酬について

主要な決議事項である上記4つを解説します。

会社の組織・事業について

会社の基本的な方針を決めます。

定款変更
事業譲渡
組織変更・再編
解散

など、これらは会社の将来を左右しかねない重要な決定事項です。

役員の独断に任せると、将来的に株主が大きな損害を被りかねないことから、会社法により株主総会での決議として定めらています。

株主の権利について

下記のような、株主の利害に影響があることを決めます。

株式の併合
会社による自己株式の取得
計算書類の承認
資本金の減少
剰余金の分配

中小企業によっては、株式の譲渡を自由にすると第三者に会社を乗っ取られる可能性がありますので、そういう事態を防ぐために譲渡制限株式を発行し、会社が望まない人物に株式を持たせないようにできます。

譲渡制限株式の譲渡承認は原則として株主総会で決議しますが、取締役会を設置する会社では取締役会で決定します。

役員等の人事について

役員(取締役・監査役・会計参与)や会計監査人の選任・解任は株主総会で決議します。

会社の所有者は株主ですので、役員などの人事に対する決定権は株主にあります。

役員報酬について

役員報酬は定款に定めがない限り、株主総会で決議します。

取締役会での役員報酬の決定は、役員による不当な設定の恐れがあるからです。
株主総会での決定により、株主や会社にとっての利益を守る役割があるといえます。

なお、役員報酬は総額を定めれば足ります。

株主総会の決議方法は3種類

株主総会での決議方法は次の3つです。

・普通決議
・特別決議
・特殊決議

決議の成立には出席要件にあたる『定足数』と、決議要件にあたる『議決権数』を満たす必要があり、「普通決議<特別決議<特殊決議」の順で成立要件が厳しくなります。

決める内容の重要度が高くなり、株主や会社への影響度も大きくなるからです。

株主は1株につき1議決権が与えられ、決議は多数決ですので、株式を多く所有する株主ほど影響力が高くなります。

普通決議

株主総会において最も一般的な決議方法です。

主な決議内容は以下のとおりです。

役員の選任・解任
役員報酬
剰余金の配当・減少・処分
自己株式取得
資本金額の増減(減少は分配できる金額よりも少なくなる場合)
準備金額の増減
競業・利益相反取引などの承認

【定足数】
出席する株主が保有する議決権の過半数が必要(定款による変更可)

【議決権数】
出席した株主の議決権の過半数が賛成票である必要(定款による変更不可)

具体的には、まず株主総会を成立させるには定足数を満たす必要があります。
1株=1議決権とし、A:15株 B:50株 C:30株 D:5株という状況であれば、定足数を満たすには51株位以上が必要ですので、AとCの出席だと成立しません。

次に、決議要件は出席した株主の過半数を満たすことですので、Bと誰かが賛成すれば可決されますが、Bが反対すれば議案は否決されます。

特別決議

会社の根幹にかかわる重要事項を決議する方法です。

主な決議内容は以下のとおりです。

譲渡制限株式の買取り
株式の併合
特定株主からの自己株式取得
資本金額の減少(減資)
定款の変更
事業譲渡
合併、組織変更、組織再編

【定足数】
普通議決と同じ(定款によって1/3以上の割合を定められる)

【議決権数】
出席した株主の議決権の2/3以上(定款によって2/3以上の割合を定められる)

特殊決議

極めて特殊な事項を決議する方法です。

主な決議内容は以下のとおりです。

株式の全部を譲渡制限株式とする定款の変更
公開会社を消滅会社として、新設合併契約等の承認

【定足数】
なし

【議決権数】
議決権を行使できる株主の半数以上(定款による緩和はできない)
かつ
当該株主の議決権の2/3以上(定款によって2/3以上の割合を定められる)

なお、株式の全部に譲渡制限をかけている非公開会社が、
剰余金の配当を受ける権利
残余財産の分配を受ける権利
株主総会における議決権

などを株主ごとに異なる扱いをする場合は、最も重大な決定事項ですので、議決権数の要件が下記のようにさらに厳しくなります。

【議決権数】
議決権を行使できる株主の半数以上(定款による緩和はできない)
かつ
当該株主の議決権の3/4以上(定款によって3/4以上の割合を定められる)

株主総会にまつわるQ&A

では、最後によくある質問について回答します。

株主総会って開かないとダメ?

「家族経営だし株主総会の必要はないでしょ?」という声もありますが、たとえ持株100%の場合やワンマン経営だとしても、きちんと開催しましょう。

将来的なリスクが高いからです。

たとえば、省略した株主総会で決議した役員報酬が不当に高いという理由で取り消しの訴えを起こされる可能性も。

決議した内容が無効になりかねないので、会社法に沿ってきちんと株主総会を開催しましょう。

決議に対する定足数や議決権数などの要件に違反したらどうなるの?

会社法の取り決めに反するので、決議は無効になります。

株主提案ってなに?

株主から株主総会の議案を請求できる権利を株主提案といいます。

株主提案をするには、以下の条件を6ヶ月前から満たす株主に限られます。
総株主の議決権の1%以上の議決権を有する
または
300個以上の議決権を有する

また、複数の株主の議決権を合わせて要件を満たせれば、共同で提案できます。

「役員の〇〇が違法行為をしている」など、株主提案するときは審議を必要とする理由を明らかにする必要があります。

株主提案に対して会社側は拒否できませんので、会社側が応じない場合は裁判所の許可のもと開催できます。

まとめ

今回は株主総会に関するさまざまなポイントをご紹介しました。

内容をまとめると、

株主総会とは会社にとっての最高意思決定機関であり、定時と臨時の2種類がある
リアルやバーチャルで株主総会を実施できるが、いずれも入念な準備が求められる
株主総会では事業・権利・人事・報酬など、会社や株主にとっての重要事項を決める
決議事項の重要度が高まるにつれて成立要件は高まる(普通決議<特別決議<特殊決議)
株主総会は会社法にしたがって適切に開催しないと決議内容は無効になりかねない


会社法に基づいた開催が求められる株主総会。
多くの利害や影響が交錯する重要な会合だからこそ、開催を検討するときは専門家に意見を求めるのも賢明でしょう。

会社としてコンプライアンスを遵守しつつ、法律に基づいた適切な株主総会の運営を心がけ、株主との健全な関係を築きましょう。



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監修者

税理士 篠塚啓三
税理士 篠塚啓三
1975年生まれ 埼玉県所沢市出身
早稲田大学商学部卒業
関東信越税理士会、所沢税理士会に所属大学卒業後、一般企業を経て
平成15年4月 シン中央会計 入社
平成18年12月 税理士登録 登録番号106985
平成29年11年 税理士法人シン中央会計 代表に就任主に創業間もないスタートアップの顧客向けに、クラウド会計の導入やバックオフィスの合理化、経営数値の見える化や事業計画作成、金融機関からの資金調達など、幅広い支援を行っている。

※本サイトに掲載の内容は、令和5年7月現在の法令に基づき作成しております。

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倒産防止共済とは?経営セーフティ共済との違いは?
倒産防止共済のメリット・デメリットが知りたい
倒産防止共済をうまく活用する方法を教えてほしい

こんな悩みにお答えします。

創業初期や経営体力の少ない会社にとって怖いのが、取引先の倒産にともなう自社への影響。
黒字経営だったとしても、一転して黒字倒産する会社も少なくありません。

本記事では、
倒産防止共済をおすすめする7つのメリット
倒産防止共済で見落としがちな3つのデメリット
倒産防止共済に加入後に損しない出口戦略
について解説します。

倒産防止共済は法人保険よりもメリットが多く、小規模企業共済と同じく節税対策もできます。
攻めにも守りにも活用できる優れた共済ですので、本記事を参考に加入を検討しましょう。

倒産防止共済とは?

倒産防止共済とは経営セーフティ共済とも呼ばれ、正式名称は『中小企業倒産防止共済制度』です。

中小企業を対象とし、取引先事業者の倒産にともなう連鎖倒産の危機に備えられます。
銀行の融資では資金調達に時間がかかりますが、倒産防止共済ならスピーディーに一時的な運転資金の確保ができます。

倒産とは下記のような場合を指し、取引先の夜逃げは対象外です。
法的整理(破産・再生・更生・特別清算)
取引停止処分
私的整理
災害による不渡り・支払不能


共済の加入に適しているのは、商取引にともなって売掛金債権などが発生する事業者です。

下記のような売掛金債権などが生じない事業者は、倒産防止共済へ加入すれば節税効果の恩恵は受けられますが、共済金の貸付は受けられませんのでご注意ください。
・金融業者
・不動産業者
・一般消費者を取引先にする企業


ただし、倒産防止共済に加入できるのは事業を1年以上継続している企業です。
もっとも安定したい創業1年目に加入できないのでご注意ください。

では、倒産防止共済の特徴とあわせてメリット・デメリットを解説します。

倒産防止共済の7つのメリット

会社にとって節税・貯蓄・貸付・会社防衛機能の4拍子が揃っています。
メリットは下記のとおりです。

多くの中小企業が加入できる
最大8,000万円までの貸付が受けられる
無担保・低利率で貸付が受けられる
掛金の額の自由度が高い
掛金はすべて経費に計上できる
解約時に掛金が100%返金される(※一定月数の納付が条件)
事業承継して引き継げる

多くの中小企業が加入できる

会社または個人事業主の場合、下表のように多種多様な業種が加入できます。

引用:中小機構『経営セーフティ共済・加入資格』https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/entry/eligibility/index.html


組合も加入できますが、下記のように加入できない組合もあります。
・医療法人
・農事組合法人
・NPO法人
・森林組合
・農業協同組合
・外国法人

なお、下記の場合は倒産防止共済へ加入できません。
取引状況が不明
経理内容が不明
貸付金の返済やその他の返還金請求に応じていない
法人税等の滞納
中小機構からの契約解除や不正を働いた時から1年未満
現在も共済契約者(重複契約はできない)

最大8,000万円までの貸付が受けられる

取引先の倒産にともない売掛金が消滅した場合などに、最大8,000万円を無担保・無利子・保証人不要で借りられます。

困ったときに8,000万円までスピーディーに貸し付けてくれる金融機関は数多くありませんので、万が一の心強いお守りになるでしょう。

具体的には、『実際の損害額』もしくは『納めた掛金の10倍の金額』のいずれか小さい額の貸付が受けられます。

(例)500万円納付済み、6,000万円の売掛債権が回収できない場合
→5,000万円の借り入れができる(6,000万円>500万円×10倍=5,000万円)
 ※貸付金の上限は掛金合計の最大10倍


なお、下表のとおり返済期間には余裕があります。

引用:中小機構『経営セーフティ共済・共済金について』https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/proceed/index.html

6か月の据置期間のあと、借入額に応じた年数にしたがって毎月返済します。
ただし、返済が遅れると年14.6%の違約金がかかるのでご注意ください。

無担保・低利率で貸付が受けられる

倒産防止共済は一時的な資金調達にも活用できます。
取引先の倒産に関係なく、無担保で解約手当金の95%を上限に貸付が受けられます。

下表のとおり掛金を納めた月数により、一時貸付金を借りられる限度額が決まっています。

引用:中小機構『経営セーフティ共済・一時貸付金について』https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/loan/index.html

貸付額は30万円以上(5万円単位)で、年利0.9%という低利率です。

ただし、返済期間は1年間で、一括で返す必要があり、こちらも返済が遅れると年14.6%の違約金がかかるのでご注意ください。

掛金の額の自由度が高い

少額からでも倒産防止共済に加入できます。

掛金は月5,000円〜20万円(年間6万円〜240万円)で、5,000円単位で自由に選択して決めます。

赤字が出そうな年度は掛金を減らすなど、掛金の増減が自由なのはうれしいポイント。

総額800万円まで柔軟に積み立てできるメリットがあります。

掛金はすべて経費に計上できる

掛けた掛金のすべてを経費に計上できますので、決算対策に有効です。

毎月の掛金が20万円とすれば上限800万円まで40か月にわたり、年間で最大240万円を経費計上できます。これは見方を変えると、節税しつつ簿外で資産を保有することと同じです。


また、倒産防止共済の前納制度を期末に使えば、1年分に限っては掛金の前払いができますので、下記のように1年間で最大460万円の節税ができます。

・11か月×20万円(毎月の掛金)=220万円
・12か月分(前納分)×20万円=240万円
→220万円+240万円=460万円

大きな利益が出る年度などにあわせてうまく活用しましょう。

解約時に掛金が100%返金される

掛金を40か月以上納付していれば、途中解約しても掛金が全額返金されます。
なお、貸付を受けている場合は貸付残高分は控除されます。

具体的な解約手当金の支給率は下表をご覧ください。

引用:中小機構『経営セーフティ共済・一時貸付金について』https://www.smrj.go.jp/kyosai/tkyosai/about/loan/index.html

3種類ある解約の違いは下記のとおりです。
任意解約:契約者の任意でいつでもできる解約
みなし解約:契約者の死亡、会社の解散や事業譲渡などによる解約
機構解約:中小機構からのペナルティにともなう解約

ただし、解約するときは全額が解約になります。一部解約はできません。

事業承継して引き継げる

会社の将来に何かあっても、簿外資産を承継できるので安心感があります。

・相続
・合併
・分割
・事業全部の譲渡

これらがあった場合、承継・譲受する側が倒産防止共済の加入資格を満たしていれば、共済契約を承継できます。ただし、3か月以内に申し出ましょう。

ただし、共済金・一時貸付金などの返済義務も引き継ぐことになる点にご注意ください。
安易に引き継ぐ前に、会社の状況などを踏まえて検討しましょう。

倒産防止共済の3つのデメリット

もちろんデメリットもあります。
会社のお金に関わることが中心ですので、事前にしっかり理解しておきましょう。

次の3点を深掘りします。
運用益がつく仕組みではない
短期間での解約は損をする
実質無利子ではない

運用益がつく仕組みではない

小規模企業共済のように運用益は発生しません。

そもそも資産運用を目的とした仕組みではないからですね。

最大800万円まで積み立てできますが、もちろん解約手当金として全額を受け取っても元本が増えることはありません。

投資目的には使えないので覚えておきましょう。

短期間での解約は損をする

短期間での解約は損する傾向にあります。

掛金納付月数が40か月未満の場合は損をするケースが多いからです。
12か月未満の場合、いずれの解約方法でも全額が掛け捨てになりますのでご注意ください。

解約してでも手元にキャッシュを用意したいときは、0.9%という低利率で利用できる一時貸付金の活用を視野に入れましょう。

ただし、一時貸付金は掛金納付月数が12か月未満の場合は対象外です。

実質無利子ではない

無利子といえども、実態は異なります。

連鎖倒産の危機に瀕したときに最大8,000万円の貸付を受けられますが、積立金の10分の1が取り崩されるからです。

たとえば、上限の8,000万円を借り入れた場合、積立金の800万円が没収されることに。

このように共済金から積立金の一部が控除される点にご注意ください。

倒産防止共済の上手な活用方法

倒産防止共済に加入後の出口戦略を考えておきましょう。

倒産防止共済は会社を守りながら掛金を経費計上して節税にも使える一方で、厳密には課税の繰延をしている状態です。つまり、解約すれば全額が収益と見なされて課税対象になります。

たとえば、満額掛けた場合には800万円すべてを経費にできますが、全額を解約すれば800万円すべてが雑収入になり課税されることに。

出口戦略としては、業績次第で解約のタイミングを判断しましょう。

【例:業績が悪い年度】
積立金の累積金額よりも赤字や繰越欠損があれば、倒産防止共済の解約手当金と相殺できます。会社にとって辛い時期の資金繰り対策におすすめです。

【例:業績が好調な年度】
役員退職金を支払うときに積立部分を解約して相殺すれば、節税対策につながります。


タイミングを見計らって収益と費用を相殺すれば、業績が悪い時は黒字化対策として解約したり、業績が良い時は掛金を支払って節税できたりします。

40か月以上の加入であれば全額返金されますので、積立上限の800万円までは節税対策をしつつ、赤字の時には解約するというサイクルを回すことも可能でしょう。

まとめ

今回は倒産防止共済のメリット・デメリットと活用方法についてご紹介しました。

加入する前にデメリットや解約するときの出口戦略までしっかり押さえておきましょう。

本記事の内容をまとめると、
倒産防止共済とは、連鎖倒産から会社を防衛する共済
倒産防止共済は節税面・資金調達面で優れている
積立金は簿外資産としての貯蓄機能があり、一時貸付金の利用もできる
早期の解約は全額戻らず、貸付金は実質無利子ではない
解約のタイミングは会社の経営状況と判断して決めるのが賢明

万が一の際は大きな金額が動くので、貸付金や一時貸付金を使うときには、税理士などの専門家も巻き込んで慎重に検討を重ねることをおすすめします。

倒産防止共済は創業初期の中小企業にとって、加入するメリットの多い共済です。
賢く活用しつつ、万が一のセーフティネットとして活用していきましょう。



関連コラム:法人が納める税金の種類と節税のコツをくわしく解説
関連コラム:創業時の資金調達方法


監修者

税理士 篠塚啓三
税理士 篠塚啓三
1975年生まれ 埼玉県所沢市出身
早稲田大学商学部卒業
関東信越税理士会、所沢税理士会に所属大学卒業後、一般企業を経て
平成15年4月 シン中央会計 入社
平成18年12月 税理士登録 登録番号106985
平成29年11年 税理士法人シン中央会計 代表に就任主に創業間もないスタートアップの顧客向けに、クラウド会計の導入やバックオフィスの合理化、経営数値の見える化や事業計画作成、金融機関からの資金調達など、幅広い支援を行っている。

※本サイトに掲載の内容は、令和5年7月現在の法令に基づき作成しております。

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会計ソフトって必要なの?
失敗しない会計ソフトの選び方が知りたい。コツはあるの?

こんな悩みにお答えします。

ネット検索すれば多くの情報があり、どの会計ソフトを選べばいいのか迷いますよね。
法人設立当初なら、なおさらバチっと会計ソフトを選びたいところ。

とはいえ、行き当たりばったりで会計ソフトを選んでしまうと、何回も買い替えるハメになったり、
余計な労力を費やしかねません。

今回は税理士目線で、
会計ソフトがもたらすメリットや利便性
会計ソフトをフル活用するための失敗しない選び方
金銭リスクを抑えつつ会計ソフトを選ぶ方法

これらを解説します。

本記事を読み終える頃には、会計ソフトを選ぶ方法を熟知できますので、ぜひ最後までご覧ください。

会計ソフトが必要な理由

結論、会計ソフトは導入しましょう。

会社を作ると年に1回の決算があります。個人事業主の確定申告も同じです。
その際に、1年間の取引をまとめた決算書と申告書の作成が必要になりますが、会計ソフトは
その決算業務を手助けしてくれる優秀なツールなのです。

会計ソフトを導入するメリット

メリットは、
ほとんどの作業を自動化できる
データ管理ができるので便利
ヒューマンエラーを軽減できる

かなり時短できますので、業務効率をグッと高められます。
まさに『時間を増やす魔法のシステム』でしょう。

もちろん、会計ソフトの費用は経費にできます。

会計ソフトを導入するデメリット

正直、ほとんどありません。

挙げるとすれば、
コストがかかる
手間がかかる
情報漏洩リスクがある

会計ソフトは間違いなく便利なツールです。

会計ソフトの種類と特徴

会計ソフトは主に3種類あります。

インストール型
クラウド型
オンプレミス型

オンプレミス型は導入コストが大きく、規模の大きい企業で採用されることが多いです。
中小企業や個人事業主では、インストール型かクラウド型が主な選択肢になるでしょう。

インストール型は堅実な使用感と根強い人気がある一方で、クラウド型は利便性が高くユーザー数も増加傾向にあります。

これから会計ソフトを選ぶならクラウド型がおすすめですが、下記の特徴を踏まえて検討しましょう。

インストール型

インストール型は会計ソフトをパソコン本体にインストールして使います。

【メリット】
オフラインで使えるので、動作が圧倒的に早い
買い切り(月額課金制ではない)
機能が充実していることが多い

【デメリット】
一部のOSに対応していない可能性がある
外注時や複数のスタッフで行う場合など、パソコンごとにライセンスが必要なら費用がかさむ
バージョンアップに費用がかかる

クラウド型

クラウド型は、インターネットを介してクラウド上の外部サーバーにデータを保存します。

【メリット】
ネット環境があればどこでも使用でき、スマホ・タブレットとリアルタイムで連携できる
複数のIDを発行でき、税理士とデータ共有しやすい
パソコンのOSを問わない
バックアップ・バージョンアップが不要で、最新の情報や税制に適応できる
多様なAPI連携ができる

【デメリット】
ネット環境に左右される
機能が充実していないことがある
月額課金なのでずっとお金がかかる
システムメンテナンスに入るとしばらく使えない

では、それぞれの特徴を踏まえ、会計ソフトを選ぶときのポイントをお伝えします。

会計ソフトの選び方【失敗しない5つのポイント】

会計ソフトの選び方として、「最低限、ココを押さえれば失敗しない」ポイントを5つ説明します。

使用している機器のOS・性能に対応しているか
事業内容に合っているか
仕訳入力などの機能が充実しているか
サポート体制は充実しているか
バージョンアップに対応しているか

機種・OSに対応しているか

パソコンの機種・OSへ対応しているかをチェックしましょう。

インストール型はMacに対応したものが多くはありません。
「普段はMacだけど、会計業務はWindows」という方も多いです。

また、使い勝手を重視するなら、スマホ・タブレット端末への対応も要チェックです。
クラウド型の会計ソフトの方が対応が進んでいることが多いです。

領収証などの記帳を、スマホからコツコツ隙間時間を使ってできると非常に便利。
入力だけでなく、結果を見る画面の見やすさもチェックしましょう。

事業内容に合っているか

『個人向け』『法人向けか』を見分けましょう。

会計ソフトによって仕様が異なるからです。

個人だと決算書といえば、おおむね貸借対照表と損益計算書が使えれば問題ないでしょう。
一方で、法人だと貸借対照表と損益計算書に加え、通常は株主資本等変動計算書、個別注記表も
必要です。

個人と法人では課税される税金の種類も異なりますし、会計ソフトの値段も変わります。

高性能・高額な会計ソフトを個人事業主が導入しても不要な機能が多く、使う機会がなければ
コストがかさむのでご注意ください。
  

機能が充実しているか

機能が充実している(もしくは拡張性の高い)会計ソフトを選びましょう。
業務の効率が高まり、時短に直結するからです。

たとえば、
仕訳アシスト機能
仕訳ルール学習機能
辞書機能
POSシステムとの連携機能

など様々あります。

課税事業者の場合は、消費税の集計データだけではなく申告書も作成できるソフトがおすすめです。
消費税の種類(10%、8%、非課税)もきちんと選べるかチェックしましょう。

また、機能はカスタマイズできるかもあわせて確認しておくと良いでしょう。
将来的な事業規模や業種の変化などにも対応しやすいからです。

たとえば、勘定科目のカスタマイズ。

製造業であれば原価計算を伴う会計処理が必要ですし、医療法人であれば医療法人会計基準に従った
会計処理が必要です。
会計ソフトによっては業界独自の会計処理に対応していないソフトもありますので、機能をカスタマイズできると使い勝手が良いですね。

サポート体制が充実しているか

サポート体制の充実度は重要です。
会計の知識がなくてもスムーズに進められるかに影響します。

たとえば、
ヘルプセンターはあるか
電話やチャットができるか
リアルタイムで質問ができるか
ソフトの導入支援はあるか

これらをチェックしましょう。

慣れないうちは心強いサポートになります。失敗しないためにも確認しましょう。

バージョンアップに対応しているか

税制改正や様式変更など、法的要件に対応できるかがポイントです。

上記のような改正・変更のたびに
買い替える
必要になった機能をカスタマイズする
別ツールで管理する

その都度、対応に追われるのは大変です。

インストール型は買い切りが基本ですので、追加料金を払ってでもバージョンアップに対応しているか
確認しましょう。

クラウド型は基本的に自動でバージョンアップされますので、常に最新の状態に保たれます。

法改正にスピーディーに対応できる会計ソフトを選びましょう。
直近であれば電子帳簿保存法への対応や、インボイス制度に対応している会計ソフトを選びたいところです。

会計ソフトの選び方【業務効率を上げる3つのポイント】

会計ソフトの選び方として、「業務効率がグッと上がる!」ポイントを3つ説明します。

API連携に広く対応しているか
経営分析ツールは充実しているか
顧問税理士が使う会計ソフトと同じか

これらを意識して、コスト削減や時短につなげましょう。

API連携に広く対応しているか

API連携とは、会計ソフトと経費精算・POS(販売管理)・銀行口座・クレカなどとの連携を指します。

会計ソフトを選ぶ際にAPI連携を重視すると、選択肢はクラウド型が中心になるでしょう。

API連携に広く対応できるほど、データ連携により自動で記録される情報が多くなり、
入力作業が激減
業務効率が良くなる
時短につながる

など、バックオフィス業務の事務負荷の軽減にもつながります。

たとえば、銀行口座からオフィスの電気代として10,000円引き落としがあると、会計ソフトには
オフィスの電気代が10,000円が引き落とされたと記載されます。
明細の内容や日付が自動連携されますので、入力の手間は不要になります。

ただし、「メインバンクのAPIは対応していなかった...」、「使用しているPOSに対応していなかった...」など、会計ソフトによって対応していない銀行/システムもありますので、事前に必ずチェック
しておきましょう。

経営分析ツールは充実しているか

経営分析も細かくできる会計ソフトを選びましょう。

一般的に会計ソフトは、仕訳書の作成から決算書の作成までにそれほど大きな差はありません。
しかし、経営分析ツールの有無が便利さに差をつけます。

グラフ表示機能(収益性、生産性、安全性、成長性などを可視化できる)
表の出力機能(融資申請でも使える資金繰り表などの作成)
原価計算への対応(製品の製造原価を計算)
管理会計への対応(経営判断に役立つ)

一例にはなりますが、これらのツールがあれば経営にも役立てられます。
会計に必要な情報を最大限活かしましょう。

顧問税理士が使う会計ソフトと同じか

顧問税理士と同じ会計ソフトだと、
クラウド型ならデータの共有がしやすい
会計ソフトの使い方を教えてもらえる
やり取りがスムーズに行える

など、会計業務の効率化につながります。

法人の場合は、会計処理のチェック、決算・税務申告を税理士に依頼することが多いでしょう。
会計ソフトの費用は税理士費用と別になりますので、事前に打ち合わせした方が無難です。
  

会計ソフトの無料トライアルをフル活用しよう

「あれ?思っていたのと違う...」とならないように、お試し期間をフル活用しましょう。

パッケージには『簡単』と書かれていても、実際には難しいケースはよくあること。

下記のような着眼点でチェックしましょう。

自身の簿記の知識で使えそうか
記帳しやすいか・わかりやすいか
スマホ・タブレットでも使いやすいか
外部とのAPI連携はうまくできそうか
申告書など出力機能をうまく使えそうか

無料で使える間に仕様面や機能面をくまなくチェックし、使いやすい会計ソフトを選びましょう。
 

会計ソフトの導入は補助金を活用しよう

『IT導入補助金』を活用できるか検討しましょう。

対象は国内の中小企業や小規模事業者などです。

費用は先払いになりますが、会計ソフトの導入コストを軽減できるのでおすすめです。

また、補助金は会計ソフトの購入だけが対象ではありません。

実は会計ソフトを導入する前提であれば、パソコンも調達できます。
こちら(https://www.it-hojo.jp/first-one/)より、最新の情報をチェックしましょう。

まとめ

今回は会計ソフトの選び方についてポイントを解説しました。

検討するポイントは多いですが、丁寧にチェックする価値は大いにあるでしょう。

本記事の内容のおさらいです。

結論、業務効率が上がり時短につながるので、会計ソフトはあった方が良い
会計ソフトは3種類あり、個人事業主や中小企業ならインストール型かクラウド型がおすすめ
各種ポイントを押さえたうえで、クラウド型は多機能でメリットが多い
無料トライアルをフル活用し、補助金でお得に会計ソフトを導入しよう

会計ソフトの選び方を押さえていないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔しかねません。
何事も事前のリサーチが肝心。

会計ソフトの扱いに慣れている税理士に相談するのも得策ですよ。
本記事が会計ソフトの選び方の参考になれば幸いです。



関連コラム:法人の経費を個人で立替えた場合
関連コラム:法人が納める税金の種類と節税のコツをくわしく解説


監修者

税理士 篠塚啓三
税理士 篠塚啓三
1975年生まれ 埼玉県所沢市出身
早稲田大学商学部卒業
関東信越税理士会、所沢税理士会に所属大学卒業後、一般企業を経て
平成15年4月 シン中央会計 入社
平成18年12月 税理士登録 登録番号106985
平成29年11年 税理士法人シン中央会計 代表に就任主に創業間もないスタートアップの顧客向けに、クラウド会計の導入やバックオフィスの合理化、経営数値の見える化や事業計画作成、金融機関からの資金調達など、幅広い支援を行っている。

※本サイトに掲載の内容は、令和5年7月現在の法令に基づき作成しております。

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従業員と外注の違いはどうやって判断するの?
従業員と外注で税務上の違いはなに?

こんな悩みにお答えします。

会社の経営にとって労働力の確保は永遠のテーマですよね。
従業員を雇う方がいいのか?それとも、個人事業主などを外注した方がいいのか?

世間では「外注化した方が会社にとってお得だよ」という声もありますが、きちんと従業員と外注の
違いを把握していないと、税務調査で否認され思わぬ損失につながりかねません。

本記事では、
従業員と外注の違いを判断する5つのポイント
仕事を外注する方が会社にとって有利な理由
外注費の給与認定がもたらす多くのペナルティ
をお伝えします。

従業員と外注の違いをきちんと判断できれば、想定外の事態も防げます。
ぜひ最後までご覧ください。

従業員と外注の違いを判断する方法

従業員と外注の違いは実態で判断する必要があります。

言葉の定義や契約形態など、形式的に判断するだけでは不十分です。

税務署は従業員と外注の違いを実態に基づいて判断するからです。
不十分な理解で会社経営を続けてしまうと、将来的に納税や福利厚生などに対する会社の支出額を
大きく左右しかねません。

まずは定義の違いを押さえましょう。

従業員と外注は契約形態が違う

会社側から見ると、従業員へは給与を、外注には外注費を支払います。
いずれも役務の提供対価に変わりはありません。

契約形態が大きく異なり、給与は雇用契約、外注費は請負契約などに基づきます。

雇用契約とは

会社などの雇い主と、その会社で働く従業員との間で交わす契約です。

雇用契約の目的は労務の提供です。雇い主は労務の提供を受ける代わりに、その対価として
従業員に給与を支払います。受け取る側では給与所得として所得税を計算します。


【雇用契約の特徴】
労働基準法が適用される
最低賃金が設定される
雇用保険がある

会社は勤務時間や勤務場所、休暇などの労働条件を決めます。

請負契約・業務委託契約とは

会社などの委託者と、個人事業主などの請負業者との間で交わす契約です。

業務を代行した結果として請負業者に報酬を支払います。
会社は外注費として支払い、受け取る側では事業所得(雑所得)として所得税を計算します。


【請負契約・業務委託契約の目的の違い】
請負契約の目的は一つの仕事を完成させること、業務委託契約の目的は特定の仕事を処理
することです。


【請負契約・業務委託契約の特徴】
労働基準法が適用されない
最低賃金が設定されないので、話し合いのうえ自由に報酬を決められる
雇用保険がない
有給休暇を与えなくてよい
時間外労働でも残業代を支払わなくてよい
雇用契約ではないので、いつでも契約解除ができる


請負契約などの外注は、労務の提供そのものが目的にはなりません。

極端な話、会社員であれば時間どおりに出社し、それなりに仕事をすれば給料がもらえても、
外注ではそうはいきません。

従業員と外注の違いを見分ける5つの判断基準

従業員と外注では税務上の扱いなどが異なりますので、形式的な判断だけでは不十分です。

従業員か外注かの違い一つで納税額が大きく変わります。
実態が疑わしい場合は税務調査で否認されたり、反面調査されたりする可能性も。

反面調査とは外注先へ税務官が出向き、あれこれ調べられるような税務調査を補完する目的で
行われます。

想定外の事態を避けるためにも、事前に次の5つの判断基準を押さえておきましょう。

1.代替性があるか
2.時間・場所の拘束があるか
3.管理者の指示や命令に従っているか
4.報酬が支払われる基準はどこか
5.業務関連物品の提供はあるか

これらを参考に事実関係を説明できるようにしましょう。

1.代替性があるか

『本人が仕事をするのか、他人が代わってしてもいいのか』がポイントです。

代替性がない場合、従業員としての要素が強くなります。

外注などの請負業者が休んだ際に他者が対応できない場合、従業員と判断される可能性が高まります。

2.時間・場所の拘束があるか

『作業場所や勤務時間などが自由か』がポイントです。

外注と言えども他の従業員と同じ条件で働けば、従業員とみなされる可能性が高まります。

3.管理者の指示や命令に従っているか

『仕事の依頼を断れるか(断った事実があるか)』『作業内容について指揮監督を受けているか』がポイントです。

会社など管理者の指揮下にて業務に従事するのは、従業員とみなされる可能性が高まります。

4.報酬が支払われる基準はどこか

『成果物を納品しない限り、報酬は支払われないか』がポイントです。

納品しなくても部分的に報酬が支払われる
欠勤や遅刻に対して報酬を控除している
残業手当を支給している
日給・時給などが決められている

これらに当てはまると、従業員としてみなされる可能性が高まります。

5.業務関連物品の提供はあるか

『仕事に必要な場所や機械、器具等が誰の所有物なのか』がポイントです。

材料や道具などを会社から支給されている
仕事に必要な経費を負担していない
いつも会社の車を使って現場へ向かう

従業員と同じ待遇であればあるほど、従業員としてみなされる可能性が高まります。

従業員への給与と外注費の税務上の違い

従業員を雇うより外注化した方が会社的には有利です。
なぜなら外注費の方が会社にとって負担が少なく、支出を抑えられるからです。

次の2つの視点で、従業員と外注の違いを深掘りします。

社会保険料など
消費税

社会保険料など

会社にとって外注は社会保険や雇用保険、労災保険の被保険者になりません。
従業員と大きく異なるのは、会社が保険料を負担しなくて良い点です。

従業員か外注かの違い一つで、会社の負担額は大きく異なります。


たとえば従業員を雇う場合、
社会保険料は労使折半
雇用保険は雇用保険料率に基づいて労使で負担(会社>従業員)
労災保険料は会社がすべて負担
福利厚生などあれば、通勤費などは会社で負担


外注の場合は、上記の支払いがすべて不要。

受け取る側で考えると、外注費より給与をもらう方が有利だと言えます。

消費税

会社にとって外注費の方が消費税の納付税額が少なくなります。
従業員への給与は不課税取引ですが、外注費は課税仕入取引となり、消費税の計算で差し引ける
金額が異なるからです。


【消費税の計算式】
納税額=「課税売上高にかかる消費税額」−「課税仕入にかかる消費税額」

『課税売上高にかかる消費税額』とは、売上とともに入ってくる消費税
→会社が本来納めるべき消費税を一旦預かっているイメージ

『課税仕入にかかる消費税額』とは、外注費などの課税仕入取引として支払った消費税
→買い物をした時に消費税がかかるのと同じイメージ


上記のように本来、会社は『預かった消費税』から『支払った消費税』を差し引いて納税します。

従業員への給与は不課税取引ですので、『預かった消費税』として差し引く消費税がありません。
課税仕入取引となる外注費だと、『預かった消費税』から『支払った消費税』を差し引けます。

結果的には納税額が少なくなるというわけですね。

外注のつもりが従業員と判断されるリスク【深刻です】

「うちの社員も請負契約や業務委託契約にして、節税しよう!」
「会社に少しでもお金を残そう!」

という動きが出るのも不思議ではないですよね。

会社にとって都合が良くても、実態が伴っていないと税務調査では否認されます。
それだけではなく手痛いペナルティを受けかねませんので、注意しましょう。


外注のつもりが従業員と判断されないためにも、
1.代替性があるか
2.時間・場所の拘束があるか
3.管理者の指示や命令に従っているか
4.報酬が支払われる基準はどこか
5.業務関連物品の提供はあるか

上記の5つの判断基準を押さえておきましょう。

万が一、外注費の給与認定がされれば、どんなペナルティがあるのでしょうか。

外注費の給与認定にともなうペナルティ

会社にとって余計な出費が発生します。
外注費が給与認定されると、追徴課税しなければならないからです。

具体的には、

法人消費税の請負・業務委託についての仕入全額控除がすべて否認される
外注費として源泉徴収していなかったことから、源泉徴収漏れの指摘を受ける
社会保険などを支払っていないことを指摘される
延滞課税がかかる
 (給与認定にともない源泉所得税や消費税の追加納付が必要になるが、その時点で法定納期限を超過していることになるため)
過少申告加算税がかかる
 (本来納税すべき金額を下回っているため)

このように会社にとって金銭的なリスクが非常に高いです。

さらに、外注ではなく従業員と判断された者の確定申告も無効になります。
意に反した結果にならないように、従業員と外注の違いをはっきりさせておきましょう。

給与認定されるケース

外注費の給与認定といっても、さまざまなケースが考えられます。
よく起こりがちなのは、一人親方の場合など。

たとえば、事業所得者として外注費を受け取り確定申告をしていても、
仕事は得意先のみ
得意先に指定された場所で働く
得意先の従業員と労働時間・場所が同じ
外注費としての報酬は、得意先の従業員の給与と支払日が同じ
現場では得意先が所有する道具や車両を使う
時間外手当を受け取っている

このような状況ですと、従業員だと判断されかねません。

外注費ではなく給与認定されると、会社にとっては想定外の事態となりかねませんので気をつけましょう。

まとめ

今回は従業員と外注の違いについて判断するポイントをお伝えしました。

本記事の内容をおさらいすると、
従業員と外注の違いは、形式的な判断ではなく実態をもとに判断する
想定外の事態を避けるには5つの判断基準を用いる
会社にとって支払いが少なくて済むのは外注費
外注費が給与認定されると追徴課税の対象になる

会社にとって手間や支出を削減できますので、近年は外注化の流れも活発ですが、一辺倒な解釈で従業員と外注の違いを区別しないように注意しましょう。

あくまでも実態に沿ったご判断を。

会社経営にとって最良の選択肢を選ぶきっかけとなれば幸いです。
適切に従業員と外注の違いを判断していきましょう。



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監修者

税理士 篠塚啓三
税理士 篠塚啓三
1975年生まれ 埼玉県所沢市出身
早稲田大学商学部卒業
関東信越税理士会、所沢税理士会に所属大学卒業後、一般企業を経て
平成15年4月 シン中央会計 入社
平成18年12月 税理士登録 登録番号106985
平成29年11年 税理士法人シン中央会計 代表に就任主に創業間もないスタートアップの顧客向けに、クラウド会計の導入やバックオフィスの合理化、経営数値の見える化や事業計画作成、金融機関からの資金調達など、幅広い支援を行っている。

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